おもしろ科学まつり和歌山大会






開催挨拶


青少年のための科学の祭典
 -2014おもしろ科学まつり- 和歌山大会 開催にあたって


 高度成長時代,日本のものづくりの手本は欧米にあるとされていました.その頃の日本のものづくりの現場では,欧米にある良いものをいかに安く作るか,より質を上げるにはいかにすればよいか,盛んに考えられていました.その結果,日本の科学技術は進歩して,次第に日本のものづくりが世界の手本と考えられるようになりました.
 そして,近年日本のものづくりの形態は更に変化してきて,今までの発想とは異なり,安価で高品質であることとは別の新たな価値を付加する必要が出てきました.それを実現するための方法の1つは,社会に手本を求めることではないでしょうか.すなわち,今後の科学者には,単に新しいものを作り出すだけではなく,社会に潜在しているニーズや課題を発掘して,社会で解決可能な解を導き出し,科学技術を使って実現して,それを社会に定着させること,すなわち「社会に密着したものづくり」をめざすことが必要ではないでしょうか.
 このようなプロセスを経ての「ものづくり」は,科学者が研究室にこもって自分たちだけで取り組んでいては実現できません.科学者自身が社会の中に出向いていって一般ユーザの言葉(ニーズ)を引き出して,その言葉を専門の言葉に解釈して,それに応じて開発・製作して,できたものをユーザに使ってもらってレビューを受け,改善を繰り返すことで仕上げる必要があるでしょう.ここで重要なのは専門的な知識や技術だけではなく,色々なバックグラウンドを持つ人々の間で意思疎通するためのコミュニケーション力です.これが無ければこのようなプロセスは実現できないでしょう.どれだけ深刻な要求も,その深刻さが科学者に伝わらなければ課題は解決しないでしょうし,どんなに素晴らしい発明も,その素晴らしさがユーザに伝わらなければ受け入れてもらえません.もちろん,身の回りの小さなことにも気づく敏感さも不可欠です.
 毎年この「おもしろ科学まつり」には,児童から大人まで幅広い方々に来場して頂いています.出展者も,小学校から大学までの各種学校の生徒・学生・教員や,その他科学に関心のある方々と様々です.普段の生活の中では目にしたり体験したりできない科学の実験,観察,工作などを準備して,来場者にそれらを見学,体験してもらって,科学のおもしろさ,楽しさを感じてもらいたいと考えています.小さくても良いので,何かに気づいてその発見を持って帰ってもらいたいと思います.そして,一人でも多くの人に将来の科学者をめざしてもらいたいと思います.会場は今年も和歌山大学キャンパスです.大学ならではの出展も計画しています.この大会が,科学の真のおもしろさ,楽しさを理解し,探求心を持つ創造力にあふれた若者を育てることの一助になり,あわせて,異なるバックグラウンドを持つ人同士の交流の場にもなればと期待しています.

青少年のための科学の祭典・和歌山大会
実行委員長 津田 尚明

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